外壁塗装:足場の種類とトラブルの例
外壁塗装の施行中の現場は、どこを見ても同じようにしか見えません。鉄管の足場をシートがぐるりと囲んでいる現場に、違いはないと思われます。深く考えることもなかった「足場」ですが、種類はあるのでしょうか。足場を使う現場などは、トラブルも起こりがちです。
足場に関するトラブルってどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
足場はDIYできない
外壁塗装は高額な費用が掛かります。そのことから、足場は自分でDIYして節約しようと、考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、足場は素人が関わってはいけないことになっています。
足場を組むためには、「足場の組立て等作業主任者」という国家資格が必要なのです。また、足場組立てを行う作業者も、全員が「特別教育」を受講する必要があります。
作業員を手伝おうと思っても、足場を組むことはもちろんですが、鉄パイプ1本、板1枚動かすことができないことを知っておきましょう。
足場の種類
事細かく足場の種類や違いを把握しておく必要はありませんが、わからないだろうと法律違反の簡易足場を作って作業する業者もいるので、「どんな足場があるか」くらいは把握しておきたいものです。また、事前にどんな種類の足場か、なぜこの足場なのかを確認しておくと安心できます。
塗装業者と足場業者は異なる場合もあります。その場合は、塗装業者を通して確認します。
【単管足場】
鉄パイプを組み合わせて建てる足場になります。
―メリットー
・あらゆる建物の形状に対応できる
・狭い場所でも設置できる
―デメリットー
・2本のパイプの上に乗るので、非常に不安定になる
・塗料缶や刷毛などを足場に置けないので、常に片手が塞がった状態になる
【単管ブラケット足場】
単管に足をのせる板をボルトで固定した足場です。
―メリットー
・単管足場より安全性が高い
―デメリットー
・設置の工期が長くなる
・ボルトが緩むと揺れやすくなる
【くさび(ビケ)足場】
凸金具と凹金具で固定して組み立てる足場です。
―メリットー
・住宅用足場の中では、一番作業しやすい
・設置の工期が短い
・安全性が高い
―デメリットー
・場所によって設置できないことがある
・設置時にハンマーで叩いて固定するので、騒音が発生する
【例:足場を設置しない無足場工法】
足場を作らずに、屋上からロープブランコと呼ばれる台を吊るし、その上に乗って作業する工法です。
―メリットー
・足場を組む分の工期を短縮できる
・足場費用を削減できる
―デメリットー
・作業自体に時間がかかる
・高度な技術が必要になる工法であるため、熟練職人を登用する人件費がかかる
●足場に関するトラブル例
【建物等の破損トラブル】
足場の組立て時や解体時に、家の外壁や窓、車、場合によっては隣家を傷つけてしまうことがあります。そんなトラブルはあってほしくありませんが、もしも、トラブルになってしまったら、足場業者が補償してくれるのか、だれが補償するのかの確認が必要です。
塗装業者と下請けの足場業者である場合も、保険加入の有無、保険対象の範囲など、事前の見積り段階ではっきりと確認をしておくことが、必要になります。
【隣人トラブル】
敷地内に足場のスペースを確保できない場合は、隣家の敷地を借りる必要があります。その時になって、勝手に足場を組むことが無いように、事前に隣家に対しての説明と挨拶をしておきましょう。業者に任せたままで、自身が挨拶もしなかったことから、気まずくなりトラブルに発展することもあります。工事終了後も近隣と良好な関係を続けるために、慎重な事前対応を心がけましょう。
●まとめ
外壁塗装に付きものの足場は、普段気にすることもなく、作業現場を通りすぎていました。
足場を組む理由や、どんな足場があるのか知りました。隣近所とのトラブルは、毎日の生活が息の詰まるものになってはいけませんから、相手の立場に立って慎重な行動をとるようにしたいですね。トラブルを起こさないために、すべて業者任せにしないこと、自身も挨拶や説明を心がけることで、もしもの時の対応に違いが出てきます。
費用の問題だけでは無い、足場が必要な理由を理解したうえで、安全に滞りなく作業を終了することを願いましょう。